《 イラストレーション・イン・札幌 》

私は札幌でフリーのイラストレーターをしております。
長い間携わっている北海道のイラスト業界について、
現役の立場から述べてみたいと思います。

★北海道のイラストレーション事情は 大都市以上に厳しいものです。
活躍の場が少ないことが一番に挙げられるでしょうか・・・

まず、書籍・雑誌等の大きな出版会社がないこと。
これはイラストレーターにとっては大きな痛手でしょう。
一番、活躍頻度の高い業界ですからね。
この出版業界が札幌は以外と少ないのです!
やはり東京・大阪など大都市に集中していますし
打ち合わせに行くと行ってもおいそれと行けない・・・
悲しく歯がゆい現実・・・
ただ近年はホームページ上で受注が可能なので大いに利用していますが。
そのため、こちらのイラストレーターの活躍場所は主に広告業界。
でも大手の広告代理店は関東・関西の支社・支局があるくらいで
地場の中小の広告代理店がほとんなのです。

この業界では イラストレーターにあらゆるタッチが要求されます。
今、本州で活躍されている 高名なイラストレーターの方達のように
一つのタッチ、絵柄だけでは 生活していけない!
食えない、と言うことです。

イラストレーターの数が少ない、また代理店・制作会社の方達に
私達の存在が以外と知られていない、という面もあるかもしれません。

それゆえ、どんなイラストも一人で何種類ものタッチで描くことが多いのです。

私もその一人です。ギャラリーをご覧頂けばおわかりになると思いますが
数多くの仕事をこなし、「引き出し」もかなり多いほうだと思います。
通常は一人の人間が描くタッチと言うのは限られています。
自分の得意なタッチ1つか2つで勝負しています。というより描けません!

私のようにキャラクターから水彩画、エアブラシ、ペーパークラフトや
専門的知識の必要な建築パースまで描ける人間は稀な存在だと思います!
私はアナログ時代から広告業界の仕事に長く携わり、業界に精通しています。
...というか、自然とナンでも描かされてこなしていっただけですが、
今考えれば 素晴らしい財産が増えました!

そして広告業界のほかにもうひとつ!
北海道といえば、公共事業関係のイラストの仕事があります。
北海道開発局・北海道庁・札幌市などの公共事業のイラストで
みなさんは市・区役所などに置いてあるパンフレットやポスターを
ご覧になったことがあるでしょうか?
高規格道路整備や農業農村整備事業などの公共工事や
国民年金・国民保険の仕組みを図解で説明したパンフなど・・・
みなさんあまり目に触れたことはないでしょうか?

この仕事は広告と違い 消費を促すためのイラストではありません。
私も最初携わった時、こんなイラストの仕事もあるのだなと、思った程です。
一度手に取って観て下さい!以外とイラストが多いのですよ。

《 今後について... 》

さて今や、インターネットがこれだけ普及し、紙媒体が危ぶまれています。
そしてイラストレーターは 滅びゆく職業?の一つとも言われています。
が、実際そうでしょうか?

広告は今までの紙やTVなどのメディアからネット配信へ転換しようとしています。
今後は ネットを通していかに生き残るか、が重要になってくるでしょう。
ネットの普及で全国からお仕事も受注できる環境に変わりました!
さらに今ではデジタルデータで入稿が当たり前になっていますが
アナログイラストでもデジタル化して送れる時代になりました。
地方在住のイラストレーターにとっては本当に便利でウレシイことです。

北海道はバブル崩壊後、地方バンク・ゼネコンなどが破綻したりと
企業の倒産も多く、経済的にもかなりの打撃がありました・・・
その影響で、企業の広告費カット・プライスダウン・・・など
日々、大都市以上に厳しい状況が続いています。
全国的に上向いて来ていると言う報道もされてはいますが、
北海道だけは以前低迷しています。早く脱出して欲しいと願うばかりです。
こういう厳しい中、みんな必死に頑張って描き続けているのです。

    2006.1.(Rewriting ) by SenJ4